『ふくし生協直方市学童保育支援センターの開設について』
○学童保育とは
学童保育は「共働き・一人親家庭の小学生の放課後の生活(土曜日・春・夏・冬休み等の学校休業時は一日)を安心安全に過ごせるようにし、そのことを通して親の働く権利と家族の生活を守るという役割を持っています。また、今日の少子化社会の進展や子育て環境が厳しくなる中で、子育てをする親の支援がますます必要とされています。
親の願いで誕生した学童保育は、保護者と指導員の「共同の子育て」の場として発展し、現在福岡県内には1055カ所の学童クラブがあります。しかしながら、国や自治体の学童保育施策は長い間不十分なままであり、施設整備も利用児童数の増加に追いつかず、働く支援員の待遇も極めて劣悪な状況が続いています。
2012年に成立した「子ども・子育て支援法」により学童保育制度の改善がようやく始まりました。保護者や支援員が長年にわたって国や自治体に求めてきたことがようやく実を結び始めています。
○直方市学童保育事業の委託を受けて
ふくし生協は、社会福祉の増進と安心して暮らせる地域づくりを目標として、様々な分野の事業を進めることを目的としています。児童福祉法に含まれる学童保育(放課後児童健全育成事業)もその対象として位置づけられます。
今年2月、直方市の「放課後児童健全育成事業業務委託」の公募が実施され、応
募しました。その結果、3月2日に事業者選定委員会で市内9小学校10学童クラブについて高齢者福祉生活協同組合が選定され、事業受託することとなりました。
4月1日からの事業開始にむけて1ヶ月弱の期間しかなく、学童保育職員(支援員)の新規雇用(継続雇用)のための面接や保護者への説明会等を開催しました。それまで、保護者会等で運営していた学童クラブからふくし生協への事業移管となることに対して、戸惑いや不安が保護者や指導員からも出されました。開設準備作業とあわせてふくし生協の学童保育運営について理解をしてもらうことが最大の課題となりました。
○4月1日、「ふくし生協・直方市学童保育支援センター」を開設
新学期になり、新入生144名を新たに迎えて435名の児童が学童保育を利用しています。現在、支援員45名と事務局2名の運営体制で子どもたちの保育にあたっています。それぞれの学童クラブの特色を生かしながら保育の質を高め、子どもたちにとって「毎日行きたくなる」保育をめざしています。
また、保護者会との連携を図るため、保護者会長懇談会を開催し、10クラブの統一した運営ルール等を決めたり保護者どおしの交流企画づくりを進めています。
○学童保育づくりの課題
第1に、学童保育の運営を支える支援員の処遇改善と保育実践のための研修の充実を進めること。第2に、保護者会の役割が発揮できるよう、保護者どうしの交流や運営の課題を共有すること。第3に、学校や地域との連携を広げ、地域の中での子育てを進めること。以上のことをめざしています。
ふくし生協は、これまで非営利・協同の組織として高齢者や障害者分野の福祉事業を進めてきました。今回、新たに学童保育事業(子育て支援事業)に取り組む上で、協同組合らしい民主的な組織運営を進めます。そして、保護者と支援員、学校、地域のつながりを大切にしながら「共同の子育て」をスローガンに学童保育事業の発展をめざします。(学童保育支援センター長 森元茂利)